スター★ドームってなに?

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かるくしなやかなみらいへ

スター★ドームは簡単に作れる竹のお家

スター★ドームとは、竹などの身近な素材を使って作る半球形のドームです。開発には竹川大介(北九州市立大学文学部助教授)を中心に木下靖子・今田文など九州フィールドワーク研究会(野研)のメンバーが4年がかりであたりました。スター★ドームは、誰でもたやすく組み立てられるよう独自の工夫が重ねられています。

スター★ドームの構造と制作時間

スター★ドームの基本形は10本のフレームから構成され、このフレームを3等分した位置で互いに星形に編むことによってできています。さらにその星形を取り囲むように、5本のフレームを5等分した位置で編んだ5角形の構造を付け加え、より強固で安定した美しい構造が可能となります。

制作にかかる作業時間は、竹を割るところから始めても3時間あれば十分です。すでに用意されたものを組み立てるだけであれば、慣れた人で10分、初めての人に説明しながらおこなっても30分以内に可能です。作業人数は3名〜10名ていどで、分業が可能であるため人数に応じて作業時間は短くなります。このように非常に短時間で大きな居住空間を作成できるというのが、スター★ドームの特徴なのです。

スター★ドームの可能性

たとえば標準的なサイズである18メートルサークルのドームには、30人あまりの人が集うことができる約15畳の空間ができます。これを野外宿泊用のテントやイベントの会場として利用することができます。竹と麻紐だけで組み立てることができるスター★ドームは、布のかわりに柿渋を塗った和紙を張ることにより、大きな和傘にも変身します。このような純粋に自然素材だけから作られたドームは、放置しても完全に朽ちていくために、環境と調和のとれた構造物としてさまざまな用途への活用が期待できます。また、住居以外にもドームの骨組みを利用して、つる植物の棚や温室など手軽な家庭菜園の設備として応用が可能です。大きさをかえることにより籠、ランプシェード、竹ボールなどユニークな手芸品に加工することもできます。

複数の梁によって構造を支えるスター★ドームに適した素材は、十分な柔軟性と強度をあわせ持つものであればなんでもよく、金属やカーボンファイバーなど産業的な応用範囲は多様です。とりわけ竹は、日本中に広く分布する天然素材であること、費用がかからず加工がたやすいこと、耐久性を持ち軽いことなどから、われわれはもっとも優れた素材として注目をしてきました。近年は気候の温暖化と竹製品の需要の低下による竹林放置により、竹林の荒廃や拡大が大きな社会問題となっています。市民の伐竹ボランティアや竹林を利用したリクレーションなどによって、これらの問題を解決しようとするとりくみが各地で増えており、スター★ドームもこうした里山の再利用の一助となるものと考えています。

こんなこともできます

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円周30メートルドーム・現時点で世界最大

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プラネタリウム

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グリーン★ドーム

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スター★イルミネーション

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ドーム★シアター

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ドーム★ホテル

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和傘★天幕

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スター★ボール

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土★丸

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スター★ファイアー

【さらに詳し知りたい人のための解説】

最小の素材から最大の空間を

数学者、建築家、発明家、思想家とさまざまな肩書きをもつバックミンスターフラーは、地球を生命が暮らす有限の空間と考え「宇宙船地球号」という言葉を広めた人として知られています。未来の建築のありかたや、くらしのデザインについて深い洞察をおこなったフラーは、最小の資源から最大の効果を生み出すための数々のアイデアを提案しました。フラーの幾何学理論と思想的な背景を知るうちに、私たちは彼の魅力に引き込まれていきました。軽くてどこにでも持ち運べる新しい住まい。誰もが自分だけの空を手に入れることができる空間。身近な素材からそんなすてきなドームは作れないだろうか。

フラーが提案したドームは美しい半球です。その立体は複数の小さな平面を組み合わせて構成されています。しかし、それには球面を平面におきかえるための複雑な計算が必要でした。そこで私たちはもう一度原点に立ち返って考えなおすことにしました。球面のままで計算すれば、もっと単純な原理でドームは作れるはずだ。

なんども試作をくりかえしながら十分な強度と安定性をもつドームの設計に頭を悩ませていたちょうどそのころ、国立民族学博物館で開かれていた「マンダラ展チベット・ネパールの仏たち」のなかに大きなヒントが隠されていました。須弥山を中心に展開する仏の世界、幾何学模様を繰り返す曼陀羅と呼応するように、新しいドームのイメージが突然浮かび上がったのです。

天頂に輝く星とそれを取り巻く五連星

これこそ求めていたドームでした。半球を3等分した点がそれぞれ星形の頂点になるようにフレームを組み合せてみましょう、すると正20-12面体の頂点を結んだ位置にきれいな星が出来上がります。それは、とてもシンプルでバランスがとれたドームでした。こうして2003年7月、ついに6つの星を持つスター★ドーム(星天蓋)が完成したのです。 九州フィールドワーク研究会では、多くの人にスター★ドームが生み出す美しい空間を体験してほしいと願い、このスター★ドーム公式サイトを作成しインターネット上で情報を公開しています。

スター★ドームは竹資源の有効利用だけにとどまらず、人類の新しい生き方を志向するものであってほしいと私たちは考えています。重厚長大な思想ではなく、かるくしなやかな思想。定住ではなく遊動のくらし。フラーが夢見ていた未来の姿を「ほら、『きみだけのそら』がそこにあるよ」とスター★ドームが教えてくれるはずです。

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